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Microsoft Entra ID完全解説【旧Azure ADとの違い】

関連トピック: IDaaS比較の決め手|3タイプの違いと選び方・料金の目安

Microsoft Entra IDは、Microsoftが提供するクラウドベースのIdentity and Access Management(IAM)プラットフォームです。2023年3月にAzure ADから名称変更されました。本記事では、Entra IDの機能体系、料金プラン、旧Azure ADとの違い、実装方法を詳しく解説します。

Microsoft Entra IDの概要

Entra IDとは

Entra IDは、組織のユーザー認証、シングルサインオン SSO、多要素認証、アクセス制御を統合的に提供するクラウド IAMプラットフォームです。全世界で約1,000万組織が採用しており、Microsoft 365(Office 365)との緊密な統合が特徴です。

Microsoft Entra ID(クラウドIAM)
  ├─ ユーザー認証(パスワード、MFA、FIDO2等)
  ├─ SAML/OIDC/OAuth 2.0対応
  ├─ 条件付きアクセス(Conditional Access)
  ├─ Privileged Identity Management(PIM)
  ├─ Identity Protection(リスク検知)
  └─ Microsoft 365との深度統合
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Entra ID 料金プラン比較

Microsoft Entra IDは、複数の料金プランを提供しており、組織の規模と要件に応じて選択できます。

1. 無料プラン(Free)

【対象組織】
- 中小企業(従業員 100名未満)
- パイロットプロジェクト
- コスト重視

【月額費用】
- ¥0(無料)

【含まれる機能】
- ユーザー・グループ管理(無制限)
- シングルサインオン(SSO)
- 基本的なAPIアクセス
- 監査ログ(30日保持)
- アプリケーション連携(SAML/OIDC)
- デバイス管理(基本)
- デバイスへの条件付きアクセス(基本)

【含まれない機能】
- 高度な条件付きアクセス
- Identity Protection(リスク検知)
- Privileged Identity Management(PIM)
- セルフサービスパスワードリセット(SSPR)Advanced
- 監査ログの長期保持

2. Entra ID Free(Business)

【対象組織】
- 小規模企業(従業員 100~500名)
- SSO・基本的なMFA必要

【月額費用】
- ¥0~500円/ユーザー/月(実質無料だが、Microsoftが提供するオプションで変動)

【含まれる機能】
- Free プランの全機能
- セルフサービスグループ管理
- オンプレミスAD連携(Azure AD Connect)

3. Entra ID P1(Premium P1)

【対象組織】
- 中規模企業(従業員 500~5,000名)
- 高度なSSO・アクセス制御が必要

【月額費用】
- ¥600~800円/ユーザー/月
- 最小導入数:制限なし(1ユーザーから)
- 月額費用例:1,000ユーザー × 600円 = 600,000円/月

【含まれる機能】
- Free プランの全機能
- 高度な条件付きアクセス(Conditional Access)
  * IP制限、デバイス確認、リスク検知に基づくアクション
- セルフサービスパスワードリセット(SSPR)Advanced
- デバイス管理(オンプレミスAD同期含む)
- 監査ログ(90日保持)
- ハイブリッド Azure AD Join
- 動的グループメンバーシップ

4. Entra ID P2(Premium P2)

【対象組織】
- 大規模企業(従業員 5,000名以上)
- 金融機関・医療機関等、高度なセキュリティが必須

【月額費用】
- ¥1,200~1,800円/ユーザー/月
- 最小導入数:制限なし

【含まれる機能】
- P1 のすべての機能
- Privileged Identity Management(PIM)
  * 管理者権限の時間制限・承認フロー
- Identity Protection
  * リスクユーザーの自動検知
  * 異常ログイン検知
  * 条件付きアクセスとの連携自動化
- アクセスレビュー
  * 定期的なアクセス権限の見直し自動化
- 監査ログ(12ヶ月保持)

5. Entra ID Governance

【対象組織】
- グローバル企業
- 複雑なアクセス権管理・監査が必須

【月額費用】
- ¥2,000円/ユーザー/月以上

【含まれる機能】
- P2 のすべての機能
- Entitlement Management
  * アクセス要求・承認フロー自動化
  * アクセスレビューの高度な定義
- Lifecycle Workflows
  * 入社・異動・退社時の自動プロビジョニング
- Identity Governance Dashboard
  * 全社的なアクセス権の可視化

Entra ID(旧Azure AD)との違い

名称変更の背景

2023年3月、MicrosoftはAzure ADを「Microsoft Entra ID」に名称変更しました。これは、Microsoft の Identity プロダクト全体の統一化戦略の一環です。

Azure AD(旧名)
  ↓(2023年3月に名称変更)
Microsoft Entra ID(新名)

機能・仕様は基本的に変わらず、UIやドキュメントが更新されました

主要な変更点

項目Azure AD(旧)Entra ID(新)
製品名Azure Active DirectoryMicrosoft Entra ID
ポータルURLportal.azure.comentra.microsoft.com(推奨)
管理画面Azure Portal内独立した Entra Admin Center
ブランディングAzure プロダクトの一部Microsoft Entra 独立ブランド
機能・料金変わらず変わらず
APIgraph.microsoft.com(同じ)graph.microsoft.com(同じ)

実質的な変化:ほぼUIの改善であり、既存顧客への互換性は完全に保たれています。

Microsoft Entra IDの主要機能

1. 条件付きアクセス(Conditional Access)

ユーザーのログイン状況に基づき、動的にセキュリティ要件を変更します。

【条件付きアクセスルール例】

Rule 1: 会社外からのアクセス
  条件:(Location != Japan)AND (IP != Corporate)
  アクション:多要素認証(MFA)を要求

Rule 2: リスク検知時
  条件:Risk Level = High(Identity Protection が検知)
  アクション:パスワード変更を強制

Rule 3: オンプレミスAD未同期ユーザー
  条件:(Cloud-only user)AND (Accessing legacy system)
  アクション:追加認証 + デバイス確認

Rule 4: 時間帯制限
  条件:(TimeOfDay > 22:00)AND (WorkingHours = false)
  アクション:ブロック

2. Identity Protection(リスク検知)

異常なログイン活動を自動検知し、セキュリティを脅かす可能性のあるユーザーを特定します。

【検知する異常】

- Impossible Travel:
  短時間に物理的に移動不可能な場所からのログイン
  例:東京から5分後にニューヨークからログイン

- Unfamiliar sign-in properties:
  ユーザーの通常と異なる環境からのアクセス
  例:通常はWindows PC だが、Linux からのアクセス

- Leaked Credentials:
  ユーザーの認証情報がダークウェブで流出
  例:過去のデータ漏洩で認証情報が露出

- Anonymous IP:
  VPN / Tor / プロキシ経由のアクセス

- Malware Linked IP:
  マルウェアからのアクセスが確認されたIP

3. Privileged Identity Management(PIM)

管理者権限を時間制限・承認フロー化し、特権濫用を防止します。

【PIMの仕組み】

管理者が必要な場合:
  1. PIM ポータルで「Activate」をリクエスト
  2. 理由・期間を入力
  3. 承認者(別の管理者)が レビュー
  4. 承認されたら、指定期間のみ権限が有効化
  5. 期間終了後、自動的に権限が失効

【制御の例】

Global Admin:
  - 常時有効化:禁止
  - Activation期限:8時間
  - 承認必須:O
  - 監査対象:全アクション

Security Admin:
  - Activation期限:4時間
  - 承認必須:O

4. Access Reviews(アクセスレビュー)

定期的に従業員のアクセス権を見直し、不要な権限を自動削除できます。

【アクセスレビュー設定例】

対象:全グローバル管理者
頻度:四半期ごと(90日)
レビュアー:CEO

内容:
  1. 全グローバル管理者リストを CEO に提示
  2. CEO が「このユーザーに権限は必要か?」を確認
  3. 「不要」とマークされたユーザーの権限を自動削除
  4. 監査ログに記録

実装パターン別ガイド

パターン1:Office 365 のみ利用(小規模企業)

【構成】
- Entra ID(Free プラン)
- Microsoft 365(Office 365)
- ユーザー数:100~200名

【メリット】
- ¥0で実装可能
- Microsoft 365 と完全統合
- セットアップが簡単

【デメリット】
- 条件付きアクセス未搭載
- オンプレミスシステムとの連携が限定的

パターン2:Office 365 + 社内システムの統合(中規模企業)

【構成】
- Entra ID(P1 プラン)
- Microsoft 365
- オンプレミスActive Directory(Azure AD Connect で同期)
- 社内基幹システム(SAML連携)
- ユーザー数:1,000~5,000名

【メリット】
- AD とのハイブリッド連携が堅牢
- 条件付きアクセスで詳細な制御
- セキュリティが向上

【構築期間】
- 2~3ヶ月(AD同期周りが時間かかる)

【月額費用】
- 1,000ユーザー × 600円 = 600,000円/月

パターン3:グローバル企業向け(大規模、高度なセキュリティ)

【構成】
- Entra ID(P2 + Governance プラン)
- Microsoft 365
- Azure AD Connect + Azure AD Connect Health
- 複数地域の AD サーバー同期
- PIM で権限管理
- Identity Protection で脅威検知
- ユーザー数:10,000名以上

【メリット】
- 最高レベルのセキュリティ
- 権限濫用防止(PIM)
- 脅威の自動検知・対応
- 監査対応の自動化

【月額費用】
- 10,000ユーザー × 1,200円 = 12,000,000円/月

大規模導入事例

日本の大手電機メーカー(従業員 50,000名)

課題

  • グローバル 15地域でのIdentity管理の一元化
  • オンプレミスAD + Office 365 のハイブリッド環境
  • セキュリティ監査(SOC 2)への対応

実装

  1. フェーズ1(準備):6ヶ月

    • Azure AD Connect 導入(日本、欧州、米国のADサーバー同期)
    • パイロットグループ(500名)でテスト
  2. フェーズ2(展開):12ヶ月

    • 段階的に全社展開
    • P1 ライセンスで条件付きアクセス導入
  3. フェーズ3(高度化):6ヶ月

    • P2 + Governance ライセンスアップグレード
    • PIM で管理者権限の厳密化
    • Identity Protection で異常検知の自動化

成果

  • パスワードリセット要求:月間 2,000件 → 100件(95%削減)
  • セキュリティインシデント(認証関連):90%削減
  • オンボーディング時間:3日 → 4時間
  • 月額費用:5,000万円(大規模割引適用)

LOCKED MSO との連携

Entra ID は Microsoft エコシステムの中核ですが、LOCKED MSO との組み合わせで さらに強力になります。

ユーザー
  ↓
Entra ID(認証・条件付きアクセス)
  ↓
LOCKED MSO(追加検証層)
  ├─ デバイスセキュリティチェック
  ├─ リスク分析(高度な判定)
  └─ 条件付きアクセスルール(複雑な組み合わせ)
  ↓
Office 365/アプリケーション

まとめ

Microsoft Entra IDは、Microsoft 365 を導入している企業にとって、最も統合度が高く、コスト効率的なIAMソリューションです。

推奨される導入パターン

  • 小規模企業(~200名):Free プラン、Office 365 のみ
  • 中規模企業(200~5,000名):P1 プラン、AD連携
  • 大規模企業(5,000名以上):P2 + Governance、PIM・Identity Protection 活用

参考資料・外部リンク

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商標について:本記事に記載されているOkta、Azure AD、Microsoft Entra ID、Microsoft 365等の製品名・サービス名は、各社の商標または登録商標です。

免責事項:本記事の情報は執筆時点のものであり、各製品の最新の機能・料金・仕様については、各社の公式サイトをご確認ください。本記事の内容に基づく判断・行動について、当社は一切の責任を負いかねます。

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