基幹システムとは?クラウドやパッケージの種類毎にメリット等を解説

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古くから多くの国内企業を支えてきた基幹システム。その詳細と導入形態、メリットやデメリットまで広く解説しました。基幹システムを検討される全ての方に有用な記事となっているので、是非ご覧ください。

基幹システムとは

基幹システムは、生産、購買・在庫管理、人事など企業の事業や日々の業務を支えるシステムです。システムダウンやアクシデントによって基幹システムが止まると、「商品を納品先に発送できない」や「請求書や伝票の発行ができない」などといった事態になり、従業員の業務や取引先に多大な影響を及ぼします。

こうした事態を避けるためにも、セキュリティ対策は万全に整えておくことが大切です。下記は基幹システムの種類を紹介しています。いずれも業務の中心的な役割を果たすシステムで、簡単に代用は効きません。

基幹システムの構成種類

  • 生産管理
  • 在庫・入出庫管理
  • 受発注管理
  • 財務会計管理
  • 購買管理
  • 勤怠管理

基幹システムの仕組み

クラウド

クラウドとは、システムソフトウェアやハードウェアなどのネットインフラをインターネット経由で、提供することです。
つまり、基幹システムのクラウド化は、外部からサービスとして提供されているコンピューター資源を利用することになります。

特徴 メリット デメリット
クラウド(外部運用)
  • ネットインフラをインターネット経由で提供
  • 使いたいときに使いたい分だけ利用できる
  • オンプレミスと比較し、大幅なコストカットを実現
  • 場所を問わずに利用可能
  • 管理・運用業務が不要
  • 効率的な運用を実現
  • 災害時でもデータ保存が可能
  • 情報漏洩へのセキュリティ対策が不安
  • 情報流出した際には、多大な損失

 

 

オンプレミス(自社運用)
  • 自社内にネットインフラを設置
  • 自社で管理運用
  • カスタマイズの自由度は高い
  • 運用は安定

 

  • 初期費用が高い
  • ランニングコストが発生
  • 運用と管理に多大な労力が必要

 

従来、企業が利用している基幹システムの方法は、「オンプレミス」と呼ばれる自社内にて運用する形を取ってきました。オンプレミスは、サーバーやソフトウェアなどのネットインフラを自由にカスタマイズできるメリットがある反面、機能の追加や変更には、時間とコストが多大に発生し、管理や運用も大変でした。また、ネットインフラを導入するための初期費用の高さや設備を維持するためのランニングコストの発生といった、デメリットも多くありました。

このように、デメリットが多く感じられるオンプレスミスをクラウド化に踏み切れなかった理由は、どのような理由があったでしょうか?

それは、クラウド化にすることで生じる基幹システムのセキュリティ面や運用面に懸念があったからです。クラウドは、インターネット上のサービスを利用するため、オンプレミスと比べると外部への情報流出や情報漏洩の懸念が高まり、セキュリティ性に懸念がありました。

上記でも述べたように基幹システムは、企業の業務内容を支える重要な柱となるシステムです。何か障害が起きてしまうと、従業員の業務が止まるだけでなく、取引先に迷惑をかけることにもつながります。上記に加え、基幹システムは顧客情報や従業員の個人情報など重要な情報も多く、仮に情報流出なると取引先や従業員の信頼も失い、多大な損失につながる面も大きなリスクでした。「管理の行き届く自社内に設備を置く方が安心」との気持ちを、多くの人が抱いていたのでしょう。管理や運用が大変だったとしても、オンプレミスの方が安定した運用ができると多くの人が判断し、実行していました。

しかし近年、クラウドへの信頼性や安全性が高まり、企業のなかでも基幹システムをクラウド化する動きが高まっています。それは、クラウドサービスを提供するベンダーが、安全性を保障する証としてISOやISAEでの認証を数種類所得するなど、目に見える形で安全面がわかるようになってきたからです。

また、人々の働き方が多様化し、自宅や顧客先といった社外でも働く機会が増えたことで、場所を問わずに使えるようネットワーク環境を整える必要がありました。その点、クラウド化は自社でネットインフラを持たないため、「使いたいときに使える」というニーズを、満たすことができます。

企業の導入事例が増えたことやクラウドへの安全性の信頼が高まったことで、今後も基幹システムのクラウド化は加速するでしょう。

パッケージ

パッケージは、既存のシステムをそのまま利用するか、一部をカスタマイズして利用する方法です。パッケージのメリットとデメリットをまとめました。

パッケージソフトウェアを活用するメリット

  • 初期費用を抑えられる
  • 短期間で導入できる
  • 品質も保証されている

パッケージのメリットは、初期費用を低コストに抑えられることです。何もない状態から作り上げるのではなく、既に販売されている商品をそのまま導入するか、一部のカスタマイズのみで導入するため、低コストでの導入が可能です。

また、既に発売されている商品=他の企業もそのシステムを利用していることを意味するため、品質的にも信頼性が持てます。短期間でシステムの導入を行いたい企業やカスタマイズの必要性が少ない企業には、おすすめでしょう。

パッケージソフトウェアを活用するデメリット

  • カスタマイズの自由度が低い
  • ランニングコストが発生
  • 慣れるのに時間が必要

既に完成品として販売されているシステムを利用するため、自分たちの要望に合わせて自由に機能を追加したり、改善したりすることが難しくなります。導入前にカスタマイズを行うことは可能ですが、要望が多すぎるとコストが高くなります。

また、ユーザーはシステムベンダーに対して、ソフトウェアのライセンス費用やサポート代といった、ランニングコストを払う必要があります。保守や運用はシステムベンダーや開発企業が行ってくれる代わりに、費用を払う形です。

そして最後は、社員が新たなシステムに適応する時間が必要な点です。特定の企業に向けて製作しているわけではないので、必ずしも全ての機能が「使いやすい」と感じるわけではありません。社員がストレスなく使いこなすまでには、時間がかかるでしょう。

スクラッチ開発

一から自社専用のオリジナルシステムを開発していく方法になります。既存のシステムのフォーマットは使用しません。「既存で販売しているシステムにはない機能を搭載したい」といった思いや「他社との差別化を図りたい」と、感じている企業におすすめの方法です。メリットとデメリットをまとめました。

スクラッチ開発のメリット

  • オリジナル性が強い
  • 本当に必要な機能だけを搭載
  • ランニングコスト不要
  • カスタマイズがしやすい

メリットは、その企業独自のシステムを作れることにあります。新たなサービスや事業を始める際には、特に向いている手法と言えるでしょう。目に留まる斬新なデザインやキャッチコピーを付けることで、注目度を高めることもできます。導入事例で言うと、ユニクロやZOZOのECサイトはスクラッチ開発の代表例です。

そして、全てを自分たちで作っていくため、本当に必要とする機能を搭載できます。自分たちが必要だと判断した機能や不要になった機能を自由にカスタマイズできるため、非常に使いやすいでしょう。またパッケージと違い、システムベンダーや開発会社に払うランニングコストは発生しません。

スクラッチ開発のデメリット

  • 初期費用が高い
  • 開発期間が数年必要
  • 開発者に技術や知識が必要

まず1つめのデメリットは、非常にコストがかかる点です。自社もしくは特定企業に合わせて、全ての要素を一から作っていくからです。必要な機能が多いほど費用がかかり、場合によっては数百万~数千万円かかることもあります。財政的に余裕のある企業でないと、スクラッチ開発を選択するのは難しいでしょう。

そして、開発期間は数年単位と完成までに非常に長い時間を必要とします。イメージするとしたら、家を自ら作っていくような形です。家の設計書を書いて材料を集め、集めた材料で土台を作っていき、組み立てていきます。スクラッチ開発は業務に必要な機能の選定やシステムの設計、検証など、完成するまでクリアしなければならない課題が多くあります。そのため、短期間で導入しようと思っている企業には、おすすめできません。

そして最後は、開発者の技術力や知識が問われる点です。自社や顧客が希望しているシステムを実現できる技術力や知識が無いと、スクラッチ開発はできません。また、長期間にわたって一つの案件に携わり、様々な問題に向き合っていくことになるので、体力的や精神的にも忍耐力が要求されます。

スクラッチ開発のステップ

  1. 要件定義
  2. システム設計
  3. プログラム開発
  4. 検証
  5. 納品
  6. 運用

SAPやERPとの違い

SAPは、大手開発ソフトウェア企業会社「SAP」の発売している基幹システムであり、ERPの一つになります。ERPとはEnterprise Resource Planningの略語で、「ヒト・モノ・カネの動きや情報」を、一括管理するためのシステムです。例えば、在庫情報と購買システムを連携させることで、在庫数と発注数がすぐにわかるようになっており、在庫過多や発注過多のリスクを防ぎます。部門ごとに連携が取れたシステムを作ることで、業務の最適化につなげています。

SAPの特徴は、業界や職種ごとに必要とされる業務を意識して作られている点です。
そのためSAPを導入している多くの欧米企業は、ほとんどカスタマイズせずに、SAPのシステムを利用しています。

提供例 メリット
ERP(Enterprise Resource Planning)(企業資源計画)
  • 販売管理(売上実績、顧客別販売実績など)
  • 在庫管理(入出庫データ,仕入実績などを含む)
  • 人材管理(給与データ、個人情報など)
  • ヒト・モノ・カネの動きを一括管理
  • 各部門の連携強化による業務効率化
  • 効率的な運用

 

SAP(ERPパッケージの製品名称)
  • 銀行(リテールバンキング業務、コマーシャルバンキング業務、財務と計画など)
  • 消費財(製造、サプライチェーン、販売とサービスなど)
  • 航空業界(戦略的需要管理、業務および資産管理、状況に即したマーケティングと卓越した顧客サービス)
  • コストカット
  • 効率的な運用
  • 最新のデータを閲覧可能

基幹システムの入れ替えやリプレイス

多くのメリットを企業にもたらしていた基幹システムですが、入れ替えや再構築の必要性が強く主張されるようになってきました。
どのような理由からでしょうか?下記にまとめてみました。

基幹システムの入れ替えや再構築の必要性

  1. 企業の海外進出が増加
  2. システムの老朽化と技術継承
  3. 業務への支障

順番にみていきましょう。

まず一つ目は、海外進出をする企業が増加してきたからです。しかし、従来の基幹システムでは、現地ニーズへの対応不足、スピード感の不足、低コストでの運用や導入が課題となっていました。加えて短納期でのシステム導入を求められるため、一からの開発ではとても時間が足りず、現地でパッケージシステムを購入することで対応をしていました。一方でそれと同時に、事業が成功して進出する国が増えると、それぞれ個別のパッケージシステムを利用しているため、経営の透明化やセキュリティ性の確保において課題が出てきます。近年で増えてきた、海外のグループ会社や子会社による粉飾決算や技術流出といった不祥事を未然に防ぐための対策だとも言えます。今後、海外進出を考えている企業にとっては、販売管理や顧客管理など国内外で標準化できる項目はパッケージシステムの導入で対応し、その他の現地ニーズや企業のセールスポイントとなる部分は、自社での開発や開発会社と協力し、オリジナル性を出していく動きが加速していくでしょう。

2つめは、システムの老朽化を改善することです。事業を長期間継続していくと、必要とされる機能は変わってきます。業務上必要な機能だけを搭載し、各部門との連携を取れた使いやすいシステムの構築が求められます。また、社内でシステムの中身を熟知している者や技術や知識に富んだベテラン社員がいるうちに、若手社員に技術の継承を行う必要もあります。若手社員にシステムについて教育させる場を持たないと、自社システムに精通している人物がいなくなってしまうからです。トラブルがあったときの対応や次のシステムを更新する際の導入も、満足に対応できない可能性が十分考えられます。

3つめは、業務への支障についてです。長期間古いシステムのまま利用していると、最新のソフトウェアやデータ更新に対応できないといったことが考えられます。スピードの問題やセキュリティ面への対策など、不安は尽きません。そうなると、動作スピードが上がらないばかりか、最悪の場合使えないといった状況になります。業務の生産性が落ちるだけでなく、業務の進行自体にも支障が出るため、早急な決断が必要でしょう。

基幹システムをスムーズに入れ替えるポイント

基幹システムをスムーズにリプレイスする際のポイントを2つ書いておきます。

  • 現行システムとの並行運用
  • システムのマニュアル化と教育

1つは現行システムを使いながら、どうスムーズに新しい基幹システムを導入するかといった点が最も難しいポイントです。自社の都合で取引先に迷惑はかけられず、日々の業務をストップすることはできないからです。導入前にあらゆる状況を想定して、テストに臨むことが必要でしょう。

もう1つは、システムのマニュアル作成と導入する企業への教育の場を設けることです。基幹システムを使うのは、導入先の社員です。1日でも早く新しい基幹システムを使いこなせるようになってもらうためにも、システムの説明をする場は必ず設けてください。また導入後にシステムについての確認ができるように、変更点やポイントとなる部分をわかりやすく明記した形で、マニュアルを残しておくことも必要でしょう。

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